
>> 【 皮ふ系 】
痛みの緩和に温泉の入浴効果は大きい。一般に神経痛、リウマチも含め効果的な泉質としては、多種多様な成分を含む単純泉、アルカリ性単純泉(水素イオン濃度8.5以上の単純泉)。名湯といわれる湯が多く、やわらかな肌ざわりと穏やかな作用が特徴。幼児から高齢者まで安心して入浴できる。『熱の湯』とも呼ばれる塩化物泉も、よく体を温め、浴後の保温効果が高く、大きな効果を発揮する。
| 奈良県・山鳩湯 | 富山県・黒薙温泉旅館 | 鹿児島県・天然砂むし温泉 |
入之波温泉は吉野川源流の村に湧き、元禄年間にはすでに湯治湯として栄えていた。
現在は加温無し・加水無しの100%源泉掛け流し温泉で知られるが、近畿の屋根といわれる大台ヶ原の登山口近くにあって、その行程は今も難ルート。秘境の湯、秘湯中の秘湯などと呼ばれている。
入之波温泉には現在、関節痛や五十肩に効く2種類の温泉が湧く。単純泉の村営宿泊施設「五色湯」と、含炭酸重曹泉の「山鳩湯」である。
山鳩湯は大迫ダムの湖畔、温泉の涌き出る湖の崖の斜面に建つ。和室8室だけの一軒宿である。
源泉は、ハトの谷を地下150mまで掘削して得たナトリウム−炭酸水素塩・塩化物泉(含炭酸重曹泉)で、毎分500リットルも自噴している。自噴の様子は館内の食事処からも見られる。
湧出温度は39℃で、刺激のほとんどない中性・低張性の湯。硫化水素臭があり、無色透明で湧いて、時間がたつと半透明の黄褐色に変わる。
大浴場は特産の吉野杉による総杉丸太造り。数年前の改装で削りとったというが、深い湯船のふちには、黄褐色の湯の花(析出物)が硬く堆積して、成分の濃さを示している。巨大なケヤキの木をくりぬいた丸太露天風呂もあり、ダム湖と深山の景色を眺めながらの入浴が楽しめる。
内湯では、壁の上の方から湯がドドーッと降ってくる。内湯から流れ出た湯は露天風呂に注がれ、露天風呂からあふれた湯はダム湖に流れ落ちる。湯の落ち口にも温泉成分が赤茶けた道を作っている。
風呂と休憩室を兼ねた食事処以外に何の設備もないが、“陸の孤島”といわれるだけあって、時間を忘れて過ごせる別天地。泉質、湯量、湯の使われ方と、すべてがぜいたくな、病み付きになる温泉である。効能はなくてもいいほどだが、筋肉痛・関節痛・五十肩・運動マヒ・神経痛・打ち身・ねんざ。冷え症や慢性婦人病、ヒステリーにも有効で、飲泉では結石症や糖尿病に効果がみられる。
食事は地元産の川魚、山菜、野菜を、秘伝の味噌で仕立てた南朝鍋などの鍋物が名物。アマゴ釜めしが絶品と評判。
宿に隣接して湧く源泉は、弱アルカリ性単純泉。96.7℃の高温で、1分間に2000リットルと破格の湧出量がある。この源泉が、大正12年以来、約7km離れたふもとへと送られ続け、宇奈月温泉となっている。黒薙温泉は県内随一の温泉郷、宇奈月温泉の元湯なのだ。
現在は1日に3000トンを送湯。宇奈月駅前に湯けむりをあげるシンボルの温泉噴水をはじめ、約20軒の宇奈月温泉のすべての宿の風呂をまかなう。7km送湯しても91℃あるので、宇奈月温泉の宿では各自温度調整に工夫をこらす。
黒薙温泉は3本の源泉をもち、旅館の下流の高台に造られている「天女の湯」にこの3本のブレンド湯が入っている。女性専用の露天風呂で、4畳半ほどの小さな湯船から眼下に望む渓谷美は絶景。真っ暗な夜はランプの灯りで情緒たっぷりに入浴。あふれた湯はそのまま川へ掛け流すというぜいたくさである。男性が、ちょっぴり体験できる男湯タイムもある。
有名な河原の混浴露天風呂「源泉(いずみ)」も朝晩に女性タイムが設けられている。28畳分の広さがある岩風呂で、すぐそばで源泉が豪快に噴き上げる様子が旅行パンフレットを飾るが、危険なので清掃時以外は蓋をしてある。滝の見える内湯は24時間入浴OK。抜群の透明度を誇る湯は、五十肩や関節痛などに効き飲用で胃腸に特効あり。
世界で唯一の天然砂むしは300年続いた湯治法。
摺ガ浜海岸に湧き出す温泉の上に仰向けになり、30kgほど砂に埋もれて10分〜15分。噴き出す汗と砂を湯で洗い流せば、体内の痛みや炎症の原因物質や老廃物も一緒に洗い出して流してしまうという。独特の入浴法や温浴効果が血管や心臓機能に相乗的に作用するため、1回の砂むしは温泉入浴の3、4回分にも相当する効果がある…と医学的に実証されている。
具体的には腰痛・五十肩・ひざ関節痛・神経痛・リウマチ、更年期障害や骨折、脳卒中後マヒのリハビリなどの痛みに有効。さらにむちうち・やけど・アトピー性皮膚炎・ぜんそく・痔・糖尿病・胃腸病・不妊症・冷え症・貧血・便秘・肥満にも効果がある。ただし体調の悪い時は控える。
海岸の砂の中に湧いているのは、83℃の高温ナトリウム−塩化物泉。地下深くに溜まった化石海水らしいが、砂は深く掘るほど高温になる。埋まる温度はだいたい50〜60℃で、この温度と砂の重みも効き目を左右するという。