
>> 【 痛み系 】
世に「美人の湯」は多い。単につるつるしている湯なのか、肌をつるつるにするのか、よくわからないものもあるが、シミやくすみ、ぶつぶつ(湿疹)かいかい(痒み)かさかさ(乾燥)など、肌を癒し、病的な部分を治してくれる薬効を期待できる温泉も多くある。
まずアルカリ性単純泉。刺激の少ないやわらかな湯といわれ名湯も多い。
炭酸水素塩泉=重曹泉。にごり湯で登場することの多い重炭酸土類泉もこの仲間。やわらかさとすべすべ感で美肌の湯として人気。
色白美人を作る硫黄泉。匂いに難ありだが、美白効果や皮ふ病にはピカイチ。
他にもタラソテラピー効果の期待できる塩化物泉、老廃物をすっきりさせてくれるラドン泉なども、美人湯と呼ばれるものが多い。
| 愛知県・湯本館 | 岡山県・療養湯 | 福岡県・卑弥呼の湯 |
| 石川県・御前荘・白山天望の湯 | 和歌山県・しらさぎ |
笹戸温泉は矢作川上流の河畔に湧く。発見は室町時代といわれる、愛知県で最も古い温泉地。古くから湯治場として知られ、おおいににぎわっていたそうだが、現在は豊かな自然が残り、秘湯ムードすら漂う静かな温泉地である。
湯本館は温泉街のとっかかりにある。矢作川を望む、6部屋だけの一見民家風の宿。客室は、田舎のおばあちゃん家の座敷を思わせるような畳の部屋。のんびり寛げる。
料理人のご主人と元看護師の女将さんが、味と栄養バランスに配慮したヘルシーな料理でもてなす。嬉しいことに塩分、糖分、油、食物アレルギーなど、食事に制限のある人の場合でも、事前に申し出れば、できるだけ希望に添ってもらえるという。
自慢の温泉は笹戸温泉1号泉。自家泉源で、毎分20リットルずつ湧き続けている21℃の単純硫黄泉。2つある風呂はもちろん源泉100%で、家族風呂として使っている。
皮ふ病、神経痛、リウマチ、婦人病に卓効があるが、最近ではアトピー性皮ふ炎にも効くと評判になって、温泉水を持ち帰る人や、湯治に通って実際に良くなった人もいる。
湯治には、従来からの年配客にまじって、ストレスなどで精神的な癒しを求めてやってくる若い女性たちも増えているという。いろいろな都合を抱えて訪れる人のために、とくにチェックイン・チェックアウトの時間は決めていない。着いた時間がチェックイン。出発するときがチェックアウト。時間をつぶしたり、朝風呂をあきらめたりしなくてもいいように…。
湯郷温泉は、のどかな田園地帯に湧く名湯。中国自動車道美作インターから10分というアクセスがよく、スポーツリゾートとしても知られる。
湯郷温泉の元湯は、シラサギ伝説発祥の地に建つ、日帰り温泉施設、湯郷鷺温泉館。
温泉はラジウムの気泡を含むナトリウム・カルシウム│塩化物泉で、肌がすべすべになることから、別名はもちろん「美人の湯」である。
泉源は2本で地下600mから毎分540リットル湧いている。
皮ふ病、神経痛、リウマチ、消化器病、貧血症、婦人病などに効能がある。
鷺温泉館の斜め前に、似たような造りの小さな平屋建ての姉妹館「療養湯」がある。入口に「村湯・療養湯」と看板が出ている。「村湯」は明治時代から親しまれてきた地元の人のための風呂。「療養湯」は、ほとんどの人が湯治目的の治療湯である。館内で左右にわかれている。 湯郷温泉では2本の源泉を混合して使っている。元湯は鷺温泉館なので、2つの温泉施設は泉質も湯も全く同じ。なのに「あまり教えたくないけど、すぐわかるほど湯が違う」と体験者は口々に言う。
違いの秘密は温度にあるらしい。療養湯はぬるい。湧き出た源泉をそのまま湯船に入れて掛け流しているからで、湯船では40℃以下になっている。小さな2つの湯船に湯の花が舞い、まったりとして長湯もできる。
一方、鷺温泉館の方は規模も大きく、風呂の数も多いので、沸かして使っているが、これも源泉風呂である。温泉館には身障者用の家族風呂もあり、ジャグジーやジェットバス、洞窟風呂、露天風呂を楽しみたい時は、断然こちらである。静かな湯治は療養湯へ。ちなみに療養湯ではセッケン、シャンプー使用禁止。とろけて浸かるだけの風呂である。
2004年オープンの新しい施設だが、すでに湯の良さでは定評がある。ここでは泉質や効能をいうより前に、温泉の気持ち良さが語られる。
九州でも屈指の水素イオン濃度(pH)9.9のアルカリ性単純温泉。浸かるとすぐに細かい気泡が体にびっしりと着く。産毛の一本一本にまで泡の粒が着いて、体が真っ白にみえることに驚く。湯の花が出ると表示があるが、湯の花なのか気泡なのかわからなくなるほどである。ツルツルの湯は体が溶けるような感触で、心も蕩ける美肌の湯。
表示されている効能は温泉の実力に比べてごくフツーである。アルカリ性低張性高温泉の一般的なものにすぎないが、入浴での満足度は「今までで一番」という人も多い。 源泉は施設の駐車場の地下1500mから毎分700リットル湧く。49℃と熱めなので少し冷ましてから湯船へ。もちろん完全掛け流し。大浴場には40.5℃と41.5℃の2つの湯船があるだけで、公共の温泉施設としてはかなりシンプル。露天風呂もないが、歩行浴専用のプールはある。
『御前荘』は、日本三名山のひとつ、白山の山あいに建ち、客室や展望風呂から白山を仰ぐ。
公共の宿で、民宿など小さな宿の多い白峰では最大規模。しゃれたコテージやキャンプ場も完備している。館内はバリアフリーで、石川県の障害者温泉療養事業の指定宿泊施設でもある。アシスタントドッグの同伴もOK。
『白山天望の湯』は、御前荘隣にある立ち寄り湯で、白峰初の露天風呂がある。1階が岩風呂、2階はヒノキ風呂になっており、それぞれに内湯と露天風呂がある。男湯と女湯が一週間交替になり、設備としては、他に休憩室があるのみ。
白峰には、全国でも片手で数えるほどしかない純重曹泉のまったりとした湯が湧く。別名は、定番の美人湯を圧倒する「絹肌の湯」という。 湯上がり肌が絹のようにつるつるになることから、そう呼ばれるようになった。その感触は、「まるでセッケン水に入っているみたい」。
効能は入浴で神経痛、筋肉痛、関節痛など、飲用で糖尿病、痛風、肝臓病などに効く。
よく体が温まり、ただただ気持ち良いのが絹肌の湯なのである。
『御前荘』と『白山天望の湯』の源泉は同じで、白峰温泉の中でも最高の泉質を誇る1号井の湯。『御前荘』では体の内側からも美しくと、朝食に温泉で炊いた朝がゆを出している。また温泉水をお土産に持ち帰る人が多いため、オリジナルの温泉水スプレー『美肌潤水』を発売。ここだけで買える人気のお土産である(630円)。
椿温泉は南紀白浜温泉から南へ約10km、小さな入り江に面した温泉地。硫化水素型のアルカリ性硫黄泉が湧き、昔は農閑期になると遠方からも湯治に訪れたという。
しらさぎでは平成15年に、25年ぶりに、念願だったという湯治場を復活。昔ながらといいつつ、部屋は自慢の展望風呂に便利な近くにあり、エアコン、テレビ、冷蔵庫、布団一式に洗面台とトイレ付き。共同炊事場にはキッチンセットが3つあるが、2食付きでの湯治もOK。自炊湯治の基本は3泊以上1ヵ月以内である。
温泉は源泉100%の掛け流し。31.9℃と低温なので、加温のみしている。重炭酸ソーダや硫酸石灰などを含み、慢性皮ふ病、慢性婦人病、切り傷、腰痛、関節痛に効く、なめらかでツルツルの湯。
湯治客は年配者ばかりでなく、アトピー性皮ふ炎や湿疹の子どもやファミリー、若い人の足腰の痛みや疲労回復のリフレッシュ湯治も多いという。自慢の展望風呂と日替わりの薬草風呂が元気回復のモト。毎朝入れ替えるという薬草風呂も100%源泉。宿泊の女性は朝夕で6種類の風呂を試せる。