温泉が好きでたまらない傍若無人な若者二人が、明るく楽しく秘湯、名湯めぐりをしました。訊ねた先は民家だった…なんてザラ。自慢の体当たりレポートの数々の中から危険かつ、珍しい温泉を紹介していきます。
神戸といえばやはり有馬温泉。懐かしい思い出になるが、平成12年までは温泉会館があり、いわゆる「金の湯」と「銀の湯」が同時に楽しめていたが、その後会館の老朽化により、現在は「金の湯」と「銀の湯」が別々になっている。まだ、金・銀の湯を同時に楽しめた頃の話である。
金泉の湯は鉄分がたっぷり含まれた赤褐色の湯で、かなり成分が濃そうだ。一方、銀泉は無色透明でサラリとしたお湯は爽快な感じがする。浴場はレトロ感があり、有馬温泉の歴史を物語っているかのようだった。
私はまず銀泉に浸かった。そこで疑問が発生した。
「何ゆえ銀泉と呼ぶのだろうか?」
しかし、銀泉に浸かっている間にその意味が判った。温泉に浸かっている部分が青白く見える。これを銀色に見ようと思えば見えないことはない。勝手に解釈して納得していた。もちろんそんな理由で銀泉と呼ばれる訳などない。しかし当時、私は自分なりにそう思っていた。
そんな馬鹿な考えをしているうちに、毛穴が開き汗が噴き出てきた。「よし、そろそろか」。私は有馬温泉会館の浴場を目の当たりにした時からある作戦を考えていた。その名も『毛穴パックリ大作戦』。
まず銀泉でしっかり暖まって毛穴を開き、次にいかにも成分の濃そうな金泉で、開いた毛穴からしっかり成分を浸透させる。私は銀泉で暖まった体を金泉にザブンと浸けた。するとゾクゾクと、背筋に快楽が走った。
「うぁ〜、めちゃ気持ちいい」
私の作戦がどうのこうのではなく、元々温泉が気持ち良かっただけなのだが、当時はそう信じてやまなかった。
しかし、これが温泉会館の最後であった。もう金泉と銀泉を同時には楽しめないのだ。『毛穴パックリ大作戦』もこれが最初で最後だった。