温泉の達人
Vol.232

ごあいさつ

 温泉の泉源で自噴泉ということを聞かれることがあると思います。これには掘削自噴と、自然に湧き出ている自然湧出とに分けられます。掘削自噴とはボーリングによって掘削し、地下からのガスの圧力によって掘削口から噴出する温泉です。また、大半の温泉地ではガス圧が低いために噴出しないか、もしくは大きな浴槽を抱えているので動力によって大量に汲み上げています。自然湧出は文字通り何もしなくとも地表に温泉が湧き出ている状態です。昔は自然湧出の温泉も多かったのですが、最近はごくまれに見られる程度です。大型ホテルなどでは大量に温泉を汲み上げないと浴槽を満たさないため、動力によりぐんぐん汲み上げて、次第に温泉も枯渇していき、再度掘削することも多く見られます。
 先日、群馬県嬬恋村にある万座温泉の「湯の花旅館」の大将と話す機会がありました。標高1800メートルに佇む高地の温泉群に所属するこぢんまりとした宿です。ここは自噴泉なのですが、小さな浴槽に満々と硫黄泉が注がれてます。また大将が自身で栽培された「さるのこしかけ」を浴槽に含ませ、いろいろな効能で湯治に訪れる人が多いようです。効果は医学的に解明されている訳ではないので明記できないのですが、癌や糖尿病、アトピーなどで悩まれている方が遠方から来られているそうです。さらに「さるのこしかけ茶」を毎日用意しておいてくれます。さるのこしかけを始め、アロエ、高麗人参、クコの実、チシマザサ、霊芝などをブレンドして煎じたお茶です。健康で悩まれている方は是非行ってみてはいかがでしょうか。
 スキー場が近くにあり、「昔はスキー客で賑わっていた」そうですが、「最近はめっきりスキーをする人が減って、冬は困ってます」と言われていました。スキーで賑わっていた頃には大型ホテルもがんがん建っていたそうですが、浴槽を大きくすることなく、一時的なブームに乗ることなく、「湯治場として小さなお風呂を維持してきたので、今だに温泉が自噴してますよ」と言われていました。
 最近、温泉の温度が下がった、湯量が減ったので新たに掘削した、温泉の成分が薄くなったような気がする…こういう話を耳にする機会が増えたのでちょっと心配になった次第です。


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