Vol.173
岐阜県・福地温泉 湯元長座
大阪府 K さん
初めてなのに、なぜか懐かしい宿「湯元長座」さんへ行ってきました。
岐阜県奥飛騨温泉郷の福地温泉は、国道から少し離れた静かな山里にある温泉地で、十数軒の温泉宿が点在しています。
小雨の中、宿に到着。屋根のかかった長いアプローチを抜けると、古い庄屋の屋敷を移築したという、どっしりとした建物に迎えられます。玄関には、「日本秘湯を守る会」の提灯が灯り、館内に一歩入れば、右側の囲炉裏からの炭の香りが漂ってきて、何だか懐かしい。吹き抜けのロビーには、黒光りする太い梁があり、黒ずんだ木を多用した重厚な造りになっています。
囲炉裏の周りには、熊の毛皮が敷かれてあり、そこに座れば、昔話の世界に入り込んだ気分になって、宿への期待が盛り上がります。
さっそく温泉! 宿から道路を隔てた、川沿いにある「かわらの湯」に入ります。露天風呂のみで、湯量豊富なかけ流し。適温の湯と澄んだ空気とせせらぎの音に癒されます。
夕食は、食事処で囲炉裏を囲んで味わいます。家族みんな初めての経験なので、写真を撮り合い、盛り上がります。五平餅、飛騨牛の朴葉味噌焼き、山菜など飛騨の「ごっつお」が次から次へと運ばれ、大満足で完食。囲炉裏端って、どうしてこんなに寛ぐのでしょうか。初めてじゃないみたいです。
食後、館内の大浴場へ。内湯は、木を生かした造りで丸太がふんだんに使われています。そして露天風呂は、池のように広々とした岩風呂。無色透明な湯があふれています。お湯も土っぽい、どこか懐かしい匂いです。雨は上がり、お湯につかって、星空を眺めていると、いつまでもここにいたいような満ち足りた気持ちになりました。
朝食も囲炉裏端で。卵入りの朴葉味噌焼きがおいしく、ご飯を何杯でもいける味です。「湯元長座」さんで過ごしていると、子供の頃に行ったおじいちゃんの家の匂いがします。それは、ふるさとの匂い。「湯元長座」さんは、私たちだけでなく、日本人の記憶に刻まれた「ふるさと」を見事に演出することで、旅人に安らぎを与えているのだと思います。心あたたまる懐かしさを感じるために、また家族で行こうと思っています。

