達人の弟子が行く
Vol.151


京都府・地蔵谷 不動温泉
京都府 Oさん


▲鄙びた温泉棟
 9月になり本格的な温泉の季節。早速湯治に出かけよう。
 京都駅からバスで商業地を走り抜け、30分足らず、最新流行のおしゃれな店が並ぶ白川通りに入る。別当町を右折すると、車窓が突然、50年前にタイムスリップしたような景色に変わり、瞬く間に周囲が木々に囲まれてしまった。即、バスを降りる。
 山際に、真言宗醍醐派、北白川不動院が建っている。寺が直営する『不動温泉』だ。階段を28段上がると、右手に温泉棟、左に進むと不動明王を祀る本堂がある。
 昭和31年、設備の工事中、御滝場付近の岩間から泉が湧き出した。関西で1位のラジウムを含有する鉱泉と鑑定され、「お助け水」と呼ばれ、信者の要望で温泉浴場を建設されたそうだ。
 3〜4人用の湯船なので、先客が大勢いると少し待たなければならないが、女将さん(御住職のお姉様)がうまく配慮され、あまり気にならない。庫裏を改装された27畳の大広間で、お茶を飲んだり、マッサージ器を使ったりして、ゆっくり寛げた。
「皆さん何時間かのんびりされて、2度は入浴されます」とのことだった。
 浴室は、天井が低く、小振りの造りで、窓は閉め切りになっている。少し違和感を持つが、ラジウムの気体も体に良く、いっぱい浴びられるようにされていると理解すると、湯気で白くなった浴室も、効能があるような気がしてくる。お湯に浸かると皮膚が柔らかくほぐれていく感じ。お肌がつるつると言うよりもさらさらになった(ような気がする)。
 ラジウム泉は飲用にも適している。食事のメニューは全て鉱泉を使われている。風呂上りに、湯豆腐を頼んだ。女将さん自慢のお出汁とポン酢がとても円やかで、お出汁はもちろん、ポン酢にもお湯を足して飲んでしまった。御飯や、食後のコーヒーも柔らかく深みのある味でおいしい。
 不動温泉は、市内観光の合間に訪れてもいいし、1日かけて周囲を散策しても興味深い。京都は色々な形の“らしさ”が残っていて嬉しい。
 帰り際、木の枝に、丸々太ったモリアオガエルが昼寝をしている姿を見て、「こんなに発育がいいのはやっぱりお助け水のおかげなのかも…」と思ったのだった。

お宿デ−タ
【 京都府・地蔵谷 】不動温泉

■入浴料/1,200円(無料休憩場・お茶接待有り)
■営業時間/9:30〜19:00 ■休日/毎週木曜日
■泉質/単純弱放射能泉
■主な効能/
 動脈硬化症・慢性胆道炎・貧血・老衰現象・慢性皮膚病
 胃潰瘍・食道炎・食道ガン・胃ガン・慢性胃腸カタル 他
■京都府京都市左京区北白川地蔵谷1-244
 TEL 075(781)5480
★アクセス/
 京都駅から京都バス51号系統比叡山頂行きで約40分
 【無料送迎バス】9:30、10:30発 銀閣寺通を西へ20m位北側から

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