達人の弟子が行く
Vol.108


世知原温泉〈長崎県〉山暖簾 やまのれん
福岡県 M・Tさん

 姉夫婦と三人で行くことにした。
 義兄は終戦時、少年兵として佐世保より伊万里港湾警備のため、世知原に駐留したという。
 早速、日程を10月に決め予約をとり、台風22号が九州を直撃せずに通過した10月11日、久しぶりに秋空が見えた体育の日の朝9時30分、長崎県世知原町の公共の宿・山暖簾へ出発する。車は、日産のマーチ。
 佐賀県武雄市を抜けて、山内町に入り青少年野営訓練所の前を通り、黒髪山の北側「乳待坊公園」へ。頂上の展望台はちょうど工事中で残念だが、背後に奇岩の岩山が天にそびえて絶景の地です。
 公園を後に有田の街へ出て、陶器の店が並ぶ通りを抜けて、次の観光地「竜門峡」へ。竜門ダムがあり、ダム湖を回る道路は一方通行。ダム堤の上を通り約1ほど進むとキャンプ場入口。途中岩肌より出る清水を汲んでいる人達がいる。休日のため駐車場はキャンプする人達の車でいっぱいだ…。
 竜門峡には鯉料理の大きい料亭もある。その玄関前の広場の端に竜門の湧水があり、人々がポリ容器に清水を汲んでいる。バックには黒髪山の独特の山容が迫っている。車の中で昼食をとり、世知原方面へ。途中、川谷ダムの横を通り国見道路と交差し、小塚岳トンネルを抜けて左折すれば『山暖簾』の看板が見える。
 駐車場は日帰り入浴の客の車でいっぱいだ。早めのチェックインまで多少時間があるので、玄関ロビーでひと休み。山暖簾は、今年(平成16年)1月オープンで、有名な黒川紀章氏の設計。建物の壁はコンクリートの打ち放しの工法だ。コンクリートの柱の上部より鉄パイプが四方に天井を支えている。
 その壁には、九州の色々な地方の石橋のスケッチ画が掛かっている。作者は近くの江迎町出身で今は隣町在住のすえながのぶを氏。題材は「アーチの向こうに何かが見える」。知っているところでは熊本県矢部町の通潤橋、秋月の眼鏡橋等、約40枚あるとか…。
 玄関より左側が世知原温泉『くにみの湯』。ロビーの真正面は総ガラス張りで、扇形のバルコニーが突き出ている。向こうには国見の山並みが、東から西へ杉林の緑の稜線を秋空に画いている。遥か左手谷間に、世知原の町が見える。
 宿泊棟は下の階で、部屋番号118号室の10畳間。建物自体が山の斜面に建っているためだ。「緑風香る やすらぎの宿」を謳う宿である。部屋からは玄関ロビーで見た風景が見える。
 早速風呂へ。内湯も露天も石造りで、露天風呂からの眺めは最高です。泉質はナトリウム塩化物泉。特異なにおいがする。体に良いようだ。
 夕食はレストランで「なごみ膳」を。一品、一品食べるごとに温かい物が運ばれてくる。吸物にはマツタケも入っている満足の夕食でした。部屋に戻る。玄関にあった石橋のスケッチ画が、床の間にも掛かっている。
 翌朝早く起き玄関へ。朝の太陽が出る前の黒に近い緑の稜線が美しい。駐車場へ出てみた。前日満車だった駐車場も今朝は15台ぐらいしか車が無い。佐賀、長崎、佐世保ナンバー等だ。久留米ナンバーはいない。「あっ、福岡ナンバーが1台いる」。国見山荘前バス停があり佐世保駅前行きが1日4本のみ。道路の向こう側の山小屋風の建物には「ふれあいの舘」とある。
 朝風呂に行く。昨日と入れ替えで桧風呂だ。露天風呂は、パンフレットに写っている風呂だ。やっぱりこちらの風呂が良い。朝食をレストランで済ませ、精算後は北松地区を回ることにした。
 宿舎前より世知原町の方面へ。御橋観音の駐車場に止めて50mほど上った所に新しく観音堂が建設中だ。寺の門を通り、観音像の前へ。右手に天然の石橋を見上げられる。紅葉の名所とか。時期が1カ月ぐらい早かったかな。
 吉井町、江迎町を通り平戸大橋を渡り平戸市内へ。海岸線をひと回りして田平町へ。旧国民宿舎田平荘の「たびらんど」は平戸瀬戸を眼下に望む良い所だ。帰りに松浦鉄道・平戸口駅へ。九州最西端の碑がある駅前の、北松通運に寄る。会社員時代の系列の会社だ。14〜15年ぶりだ。帰りは伊万里市から山内町方面へ。途中大川内町(伊万里市)の窯元へ。佐賀藩の陶器の里だ。片岡鶴太郎の窯もある。ある陶房を見て、軽い昼食をとる。
 昼食後、近くを散策。谷川に掛かる橋の欄干は陶器でできている。その昔の陶工達の墓が、山の斜面に当地の人達の墓と並んで建っている。静かな陶器の里である。その町を後に帰路につく。約300、秋晴れの二日間でした。

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